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圧倒的才能で人を魅了する「アマデウス 」

ユーザー様がオススメする映画・本をご紹介します。

ネタバレ注意です。

タイトル

アマデウス 

キャスト

・ F・マーレイ・エイブラハム
・トム・ハルス
・エリザベス・ベリッジ

監督: ミロス・フォアマン

あらすじ・内容

天才音楽家・モーツァルトを描いた映画です。

幼いころから父の音楽教育に磨かれ、また自身も天才的な音楽の才能に恵まれたアマデウス・モーツァルトとそのライバルのアントニオ・サリエリは、ともにオーストリア皇帝ヨーゼフ二世に仕えますが、モーツァルトの溢れんばかりの才能はサリエリを圧倒し、サリエリは次第にモーツァルトへの嫉妬を募らせていきます。

また音楽で圧倒されるばかりでなく、音楽の分野以外でモーツァルトが見せる下品で野卑な一面もサリエリを憤慨させ、次第に彼を精神的に追い詰めていきます。

ネタバレ

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共にオーストリア皇帝に仕えながら、その圧倒的才能で人を魅了し、そして下品な振る舞いで世間をあっと言わせるモーツァルトは良くも悪くも衆目を集める存在であり、話題の中心となります。

そしてそんなモーツァルトに嫉妬を覚えるサリエリはついにモーツァルトへの敵意を抑えきれなくなり、彼を殺害することを思いつくのです。

既に世を去っていたモーツァルトの父・レオポルドは生前息子の自堕落な生活を嘆いていましたが、サリエリはある日その父に扮してモーツァルトの前に姿を現し謎の依頼人として「レクイエム」の作曲を依頼します。

素性のしれない依頼人がまさかサリエリとは思わず、父が帰ってきたと誤解したモーツァルトは、体調不良を押して作曲に没頭しやがて死を迎えます。

死の直前、サリエリは思わぬ形でモーツァルトとともに「レクイエム」の制作をしますが、そこでも最後まで彼の才能に圧倒され打ちのめされます。

二人の関係は二人が生きている間も、やがてモーツァルトが死去した後も変わらないであろうことを予感させるようなラストです。

感想

志高く、また実際に教養溢れ人格的にも優れたところの多かったサリエリは、一生を音楽に捧げることを神に誓うほど音楽に没頭する純粋な人物でした。

皇帝に仕える音楽家という誇りもさることながら、自分こそが音楽を、そして音楽の素晴らしさを理解でき体現できるときっと思っていたのではないでしょうか。

そんな、彼にとって「神聖なもの」であったに違いない音楽という聖域に突如圧倒的才能を持って現れたアマデウス・モーツァルトは、子供のように粗野で下品で、汚い言葉を平気で耳にし、何ら音楽に敬意を払わない野蛮人のように映ったに違いありません。

しかし肝心の音楽の才能はサリエリどころか同時代人の誰の追随をも許さないほどに素晴らしく、まさに神から愛された音楽の申し子のようで、サリエリは憧れと嫉妬とで錯乱状態になってしまったのだと思います。

精神病院に入れられ、「自分が殺したアマデウスよ、許してくれ」と叫び続けるサリエリは、自らライバルを殺すことで一生彼に取りつかれることになったと思います。

そしてきっとそれは、あれほど憎み憧れた彼の才能に、自らが一体化することをも意味していると思います。

圧倒的才能と下品さをもって、無邪気にサリエリを傷つけるモーツァルトと、平凡人としての苦悩にあがきながら彼に縛り付けられるサリエリが対称的な印書を残す映画でした。