Tropilcal Plants

リアルすぎる作品!朝井リョウ「武道館」

ユーザー様がオススメする映画・本をご紹介します。

ネタバレ注意でお願いします。

タイトル

武道館」朝井リョウ

あらすじ

アイドルグループ「NEXT YOU」の一員である愛子は、小さい時から歌って踊ることが好きだった。

アイドル活動を続けていく中で出会う、煽り耐性、スルースキル、匿名での悪口、盗撮、過去の詮索、そして”アイドルが選んだらダメなこと”。

現代のアイドル、そして現代の世の中をリアルに描いた長編小説。

ネタバレ

ネタバレを読む

6人組アイドル「NEXT YOU」からダブルセンターとして活動していたうちの1人、杏佳がグループを卒業するところから物語は始まります。

そこから5人でアイドル活動を続けていきますが、続けていく中で起こる様々な出来事に主人公の愛子は”アイドルの自分”と”プライベートな自分”のあり方に悩んでいきます。

特典商法への批判、握手会での傷害事件、碧のドラマ出演、成長期で太ってしまった真由へのネットの書き込み、卒業した杏佳のスケジュールの空き、徹底的にアイドルを貫くため友達を作らないるりか、2期生の募集、碧のスキャンダル。

物語が進んでいくにつれて、愛子は幼馴染である大地への気持ちが恋であることに気付いてしまいます。

大地を好きな自分、アイドルの自分。その2つがどちらも同じ自分自身であると分かった愛子は、週刊誌に熱愛スクープされてしまい…。

感想

あまりにもリアルすぎるので、思わずモデルとなるアイドルがいるんじゃないのか?って思ってしまいます。

というのも、実際に起こったニュースについても触れられているからなんです。

私が日々世の中に対して感じていること、思っていること、がそのまま文章になった本といった感じでした。

最後の「私たちに、こうすべきだ、こうすべきだって言ってくる人の頭の中にばっかりいたら、ダメだよ」という愛子のアイドルとしての結論がとても刺さりました。

私はもちろんアイドルではないのでファン側になるわけですが、

”ファンとして”アイドルに何を求めているのかについて今後の課題になるな、と思います。

人間らしいところを見せないようにする、というるりかはアイドルの鑑であるようにも思えますが、それで本当にるりか自身は幸せなのかなとも思ってしまいますね。

アイドルって貴重な10代、20代をその活動に費やしているわけですし、心からみんな幸せになってほしい、報われてほしい、なんて厚かましくもそう感じてしまいました。