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山岳民族の生き方とは?「黄金の四角地帯・山岳民族の村を訪ねて 」

ユーザー様がオススメする映画・本をご紹介します。

ネタバレ注意でお願いします。

タイトル

「黄金の四角地帯・山岳民族の村を訪ねて 」羽田令子

あらすじ

バンコクに滞在している筆者が黄金の四角地帯とかつて呼ばれていた、タイ北部、ラオス西部、ミャンマー東部、中国南部の国境の町に行き各エリアに住む山岳民族の実態を記しています。

経済的に弱い山岳民族がどのようにして生きているのかを赤裸々に写真付きで読むことができます。

ネタバレ

ネタバレを読む

興味深かったのは、タイ北部メーホンソン県の小さな村を幾年にも渡って調査している点です。

「麻薬の渦にまきこまれて」の章では、初めて村を訪れた時は、家に家電もなく車もバイクもない不便な生活を強いられていたラフ族の人々。

しかし2年ほどしてその村を訪れてみると村人の生活が一変していました。どこの家も新築の立派な家を持ち真新しいバイクやジープが村を飾っていたのです。

教育を受けていないラフ族の人々がどのようにして、生活を変化させたのか?答えは簡単で麻薬売買でした。

法を犯して得たお金で良い生活をするようになった彼らの経済的、人間的な価値観の変化を見るのは事実ながらも少し残酷です。

しかし、それが20年ほど前の黄金の四角地帯に住む山岳民族の事実なのです。

感想

昨年、日本でも報道されていたタイの王様が亡くなったというニュース。

国民が喪服を着て悲しみにくれる様子が映し出されていました。しかし、なぜこれほどまでに尊敬され称えられているのか?と疑問に思っていました。

人から聞いた話では、貧しい山岳民族が麻薬売買に手を染めないでいいように産業を興したり更生施設を私費で出していたからだと聞きました。

そして、この本を読むと山岳民族の救済活動は麻薬活動との闘いだったことがよく理解できます。

山岳民族の方々がどれほど絶望的な状況にいたのか?それを王様を中心としたタイ政府がどのように救い出したのかがよく分かります。

そして、残念ながらタイ以外の3つのエリアでは、いまだに麻薬売買が問題になっています。

今後、山岳民族が合法的な方法でに経済的に安定できるのか?遠い日本に住んでいても少し考えてみるべき良い疑問に対するヒントが詰まっています。