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タイトル
「戦略不全の論理」著者 三品和弘
あらすじ・内容
この本は、従来の経営学やビジネス書と全く異なるアプローチから書かれた本です。
具体的にどこがどう違うかというと、全上場企業の財務諸表(東京、大阪、名古屋の三大証券取引所1部、2部に上場する企業について、1960年以降40年間にわたる業績)をもとに研究し、書かれた大作です。
この本を読むと、いったい経営者は何をしてきたのか。或は、経営学やビジネス書は何を会社員・学生に提供してきたのか。そういうことを想起させます。
要するに、この本の結論的なことをいうならば、高度成長期以降、日本の景気変動とは関係なく、戦略を立てて成長してきたと思われる会社は、ほとんどないというのが、この本の主張です。以下、簡単に各章の解説を致します。
第1部
戦略不全の実態ここでは、具体的に売上高営業利益率という指標を例に挙げた分析が驚きです。
高い成長率を維持し続けた日本企業ですが、1960年以降、売上高営業利益率が1960年の11%台から1995年以降は4%を割るという傾向です。
そして、利益率の低さをカバーするため、拡大する国内重要と輸出でそれをカバーしてきたのです。
しかし、その中でも景気変動に左右されずに、業績を伸ばしている会社があり、その会社を分析すると、やはりすぐれた経営者がいたことがわかります。
第2部
戦略とは何か第1部を踏まえ、実は日本の会社(上場企業)には、戦略などというものは無いに等しいというのがこの著者の見解ですが、それでは、「戦略とは何か」また、戦略的な経営をしてきた会社は、他社と比べて何が違うかを具体例を挙げて書いております。ここは大変重要です。
意外と気づいていない。どうしても、新聞・マスコミの報道は、超大企業や有名企業に着目しがちで、こうやって財務諸表を遡って見ていくと、「これが戦略的な企業だっだのか」ということが分かってまいります。
第3部
戦略不全の背景と処方箋それではどうするかというが、処方箋に該当するところですが、この本が出版されて、私は、どれくらいの企業がこの本に書いてあることを認識して実行しているのか観察をしてきました。
この本の出版は2004年になりますから、もう13年前です。残念ながら、生かされているとは思えません。逆に、この著者の教訓を活かすような動きにはなってないと言った方が適切かと思います。
感想
この本を13年前に買って読んだ時、果たして今後日本企業はどうなるのであろかと本当に迷いました。悩みました。
もう、その頃はすでにその兆候は表れていましたが、発展途上国の台頭により、日本企業の国際競争力は低下しました。
そうしますと、下がってきた売上高に対応するかのように固定費と言われる人件費に手をつけはじめ、辛うじて生きながらえているような有様ではないかと思います。
つまり、対処療法でしかなかったということです。この本を読んで、改めて経営者を作ることの難しさを痛感いたします。
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